全国日本調理技能士会連合会とは

「食を文化に!」は世界に発信する次世代の料理人のための布石

2017/04/25

 昨年10月の第54回技能五輪全国大会に続き、第29回技能グランプリが2月に静岡県で開催されました。神奈川県代表の榎本義秋選手(ザ・ニューオークラ)が訓練の成果が実り堂々の日本一(金賞入賞)を獲得されました。

 技能五輪と異なり二年に一度のチャンスを活かす技能グランプリは難関です。銀賞3名、銅賞3名、敢闘賞7名の成績でした。内閣総理大臣賞には該当しませんでしたが、厚生労働大臣賞の盾に恥じないよう後進の指導にあたって欲しいと思います。惜しくも入賞を果たせなかった選手にはぜひとも二年後のグランプリに挑戦していただきたいものです。

 昨年秋から三國清美先生、服部幸應磨先生、村田吉弘先生が発起人代表となって、飲食業界に「食を文化に!」を呼びかける活動が始まりました。一般的に「食」は「文化」といわれますが、実際には平成13年(2001年)に制定された「文化芸術振興基本法」の法律が定める第12条「生活文化」の中に(茶道、華道、書道その他の生活に係わる文化をいう)とあり、その他に含まれるものの「食」は「文化」であるという明確な規定はありません。このことに対し、2020年の東京オリンピック・パラリンピックは、≪日本の食文化≫を世界に向けて発信する好機とみて、今こそ文化芸術振興基本法に明記する改正法の成立を目指すものとしています。 次世代の「食」に従事する人びとが誇りを持って仕事ができる環境づくりなども含め、広く業界全体と食文化の発展に寄与する活動が期待されています。

 「食を文化に」検討委員会28団体の一員である全調技連としても、将来の料理人のための布石となるよう努めて参る所存です。

 そもそも日本料理には食文化としての歴史があり、平安朝より1300年の庖丁道ともいわれる料理道があるにもかかわらず、生活文化の中で家元制の茶道や華道のように独立して扱われていないことが不思議であります。少なくとも江戸時代、朝廷における食事の調理、献立、配膳には「四條流庖丁道」と呼ばれる厳密な作法があったと聞き及んでおります。

(一社)全調技連会長 片田勝紀