全国日本調理技能士会連合会とは

世界的な長寿国として日本型食生活を取り戻すために和食を見直す

2016/07/25

 農林水産省の資料によると、日本人の米の年間消費量が平成5年に一人当たり66.7kgあったものが平成15年には59.5kgに減少、その後も確実に減り続け米ばなれの傾向が進んでいます。また、日本人が好んで食していた魚介類の消費量も減少しており、かつてない魚ばなれが起きています。

 少子高齢化社会では肉類より魚介類の摂取量が多くなるというのが大方の予測でしたが、平成16年頃でも30代、40代はともかく、50代以上でさえも魚介類の摂取量が大きく減少し、日本人の魚ばなれが顕著になっています。さらには毎食の定番である漬物や味噌汁も減り、いわゆる和食ばなれが加速しているといわれています。原因の背景には皮肉にも日本人の食生活の欧米化があり、とりわけ朝食のパン食を初めとする副食の高タンパク、高脂肪、高カロリーによる肥満や高脂血、高血圧、糖尿病などの生活習慣病が年々増加するという不幸な事態を招く結果となっています。

 日本人の食生活は、主食の米を中心とし、海産物、畜産物、野菜、発酵食品などの多様な副食品をともなったものでした。これは栄養の面から見ても糖質(炭水化物)、脂質、タンパク質の三大栄養素のバランスがとれていて、むしろ生活習慣病の予防にもなるといわれています。幸いにして世界的な長寿国となっている日本の本来の食生活が、極めてヘルシーであるという理由で海外から注目され、加えて和食が世界無形文化遺産になった現実を踏まえ、日本の食文化を守り継承していくためにも日本人自身の和食ばなれを食い止める必要があります。そのためには食育推進の一環として、健康で安心、安全な和食を見直し、将来を担う子ども達の食生活を、家庭料理、学校給食、外食から和食志向に変えていく努力が求められます。

 ものづくり体験学習など、地域に密着した学校でのボランティア活動をされている方にはさらなる指導をお願いしたいと思います。現代病ともなっている食物アレルギーや偏食の問題等もあり、一筋縄ではいかない面もあろうかと思いますが、日本料理の専門調理師としての関心事と心得ていただきたいものです。

 さて、10月21日から今回は山形県で第54回技能五輪全国大会が開催されます。23歳以下の若手選手が全国から集結し日本一を競うわけですが、日頃の練習の成果を充分に発揮できるようにするにはそれなりの度胸と精神力も必要です。前回の66名を越える出場選手が見込まれますので油断することなく緊張感を持って臨んでいただきたいと思います。なお、年明けの2月10日からは料理人の日本一を決める第29回技能グランプリが静岡県で予定されています。社会的評価の極めて高い競技でもあり、一流の料理人を目指す若い調理師の目標となるよう実力を発揮して欲しいものです。

(一社)全調技連会長 片田勝紀