2014/10/10
(一社)全国日本調理技能士会連合会の平成26年度通常総会が9月7日に無事終了し、役員改選時期にあたり全員の再任が可決承認されて新たな事業年度がスタートしました。同時に全調技連の前身から30年継続している師範制度(師範会)の修了式も行われ、第30期生31名に新師範として四條司家第41代当主四條隆彦氏より師範状を授与していただきました。1300年の歴史と伝統の中で培われてきた日本料理の史実、故実、定式を師範伝書「庖丁軌範」によって学び修めた証しとして授与されるものです。また10月8日に行われた四條司家顕彰授与式において、四條司家より新師範31名に対し、師範状と表裏一体となる「匠生」の位階が与えられました。
新師範となられた方は、今後専門調理師と調理技能士の称号を持つ全調技連の正会員であり、師範会というバックボーンに支えられ、日本料理の指導者として技術技能の向上と次世代を担う後進の指導育成に努めることが求められます。当連合会が窓口となっている技能五輪や技能グランプリの選手の指導は勿論のこと、基本的には各都道府県調技会会員の活動も同様であります。各支部の活動報告によりますと地域に密着した地産地消の料理の講習や食育推進のための小中学生を対象とした料理教室、ものづくりフェアへの参加による巻寿司体験、剥き物実演などのボランティア活動の実績は技能振興事業への参加協力として、表彰受賞の大切な功績となります。
昨年暮れに世界無形文化遺産に登録され、上げ潮モードにある“和食”を代表する食文化が日本料理であります。日本を訪れる外国人の楽しみのトップは日本料理であるという。この日本料理を外国人に正しく理解していただくには2020年のオリンピック開催までに訪れるであろう多くの外国人観光客をもてなす機会に恵まれる必要があります。すでにこの半年間で過去最高の600万人を越える外国人客が訪れていると報じられています。安倍首相の所信表明の中の「地方創生」に盛り込まれた「観光立国」の項によると、東洋文化研究家の表現を借りて外国人に人気の「桃源郷のような別世界」と称される徳島県の平家の落人伝説で知られる秘境祖谷が取り上げられています。地方創生が観光地であれば郷土料理が一段と脚光を浴びることになります。
それぞれが切瑳琢磨して差別化を図り、飲食店の集客に結び付くよう努力して欲しいと思います。
(一社)全調技連会長 片田勝紀