全国日本調理技能士会連合会とは

コロナ禍の巣ごもり需要を契機に米粉を日本料理に活かそう

2020/10/15

 年頭に令和初の正月を迎えた時には、いよいよ東京オリンピック・パラリンピックの記念すべき年になるものと信じて疑いませんでしたが、2月3日、横浜港に帰港し、停泊中の大型クルーズ船で発生した新型コロナウイルスのクラスター感染から、瞬く間に全国に広がり、世界中に蔓延しました。

 それにより、東京オリ・パラの一年延期、緊急事態宣言による不要不急の外出自粛、3密を避けるためすべての会合やイベントが中止となり、テレワークによる在宅勤務など、それらによる経済活動の大幅な低迷が起こるなど、国難といえる事態になりました。

 世界の大都市でも感染者が急増し数多くの犠牲者が出ました。未だ収束の見通しが見えません。誰もが予想できないことが起き、私達の飲食業界は、観光地同様、長期休業を余儀なくされるなど、最も大きなダメージを受けています。

 今月から、GoToキャンペーンも本格的にはじまり、旅行客が動き出しました。しかしながら、インバウンドで海外から観光客が訪れるのはまだ見通しが立てられない状況です。

 この度のコロナ禍の中、変化があったのは、家族団らんの機会が多くなり、家庭料理や菓子作りなどの機会が増えたことで、これまでになく米粉の需要が高まったと仄聞しております。また、小麦粉アレルギーの子どもたちの代用として欠かせないのが米粉ですが、少し工夫して使用すると、料理によっては、小麦粉より使い勝手がよく、菓子作りではダマになりにくく、天ぶらなども油を吸いにくいため、カリッと揚がり、グルテンを含まない米粉の魅力が再認識されています。

 その結果、消費が増加し米粉製品等が定着する傾向があります。新型コロナウイルスの影響での“巣ごもり需要”で脚光を浴びることになったともいえます。また、来年に延期された東京オリ・パラでは海外からはグルテンを摂取できない大勢の選手や旅行客が来られるため、グルテンフリーの米粉料理・製品などの提供方法についても重要な課題になると考えられます。

 従って、日本料理におきましても積極的に米粉を導入し、東京オリ・パラに寄与すると共に、今後、訪れる少子高齢化社会の中で、経済の低迷が予想される中、小麦の輸入を減らし、国内の米の生産率を高めていくことが重要だと言われています。

 これからの日本全体の課題に対し、その問題解決の一端を担うべく、全調技建として、対応していくことが大切かと考えます。このような趣旨から、今回、「米粉を使った日本料理」を調理技術情報誌で取り上げることになりました。
会員の皆様におかれましても、ご協力のほどお願い致します。

(一社)全調技連会長 片田勝紀